
高浜市の無形文化財「えんちょこ獅子」
お客様より、愛知県高浜市と伝統芸能「えんちょこ獅子」についての質問をいただきましたので、
愛知県指定無形民俗文化財である、「えんちょこ獅子」のご紹介です。
~高浜市とはどんなまちか~
愛知県の中央部、西三河地域に位置する高浜市は、三河湾に面した風光明媚な地方都市です。
人口は約5万人で、名古屋市や刈谷市、安城市、半田市などの都市にアクセスしやすいことから、ベッドタウンとしても人気を集めています。
高浜市は古くから「三州瓦」の産地として知られており、日本国内の粘土瓦の主要生産地の一つです。
この地域の土質は瓦づくりに適しており、技術の粋を集めた高品質な瓦が生み出され、現在もその伝統が受け継がれています。
高浜市内には、瓦にちなんだ観光施設「かわら美術館」もあり、芸術と産業の融合を体感できるユニークな文化都市でもあります。
そんな高浜市には、瓦以外にも多くの産業や伝統があります。
伝統の1つが、無形文化財「えんちょこ獅子」と呼ばれる郷土芸能なのです。
えんちょこ獅子とは何か
「えんちょこ獅子(えんちょこじし)」とは、高浜市に伝わる獅子舞の一種で、全国に数ある獅子舞の中でも非常にユニークなスタイルを持つ郷土芸能です。
その名の「えんちょこ」とは、男性の頭にかぶる独特の小さな帽子を指しており、この帽子を被った少年たちが舞うことからこの名が付きました。
通常の獅子舞が主に大人の男性によって演じられるのに対し、「えんちょこ獅子」では小学3年生から中学3年生までの少年たちが中心となって演じます。
えんちょこ獅子の起源ははっきりとは分かっていませんが、江戸時代の中頃にはすでに存在していたとされます。
高浜市の森前地区で伝承されてきた伝統で、神社への奉納の舞として始まったと考えられている様です。
現在は、地域行事等で披露されています。
明治時代から昭和初期にかけては一時衰退したものの、戦後の地域復興の一環として再び注目され、
現在は、高浜市立南中学校にえんちょこ獅子の部活が発足し、地域の保存会と中学生によって舞の技術と精神が受け継がれています。
えんちょこ獅子の前の「銭太鼓」という女の子たちの舞も見どころです。
「えんちょこ獅子」は、高浜市という地域に根差した、“生きた文化財”です。
今年の「おまんと祭り」も楽しみです。

