不動産管理のトラブル! オーナーが認知症になった場合
最近、土地や建物、アパート等の不動産を所有している方より、高齢になってきたのでどうしたら良い、認知症になる前にどうしたら良い等のご相談を頂くことが増えています。
そこで今回は、オーナー様が認知症になった場合についてです。
賃貸アパート・マンションに住む人は、不動産の持ち主であるオーナーと契約を結んでいます。
しかし、そのオーナーが認知症などになってしまったら、どのような問題が生じるのでしょうか。

不動産管理と認知症:オーナーが認知症になると賃貸契約が結べなくなる?
不動産オーナーが認知症になった場合には、自分の意志で決定する能力がないと見なされ、法律上のさまざまな行為が制限されることになってしまいます。
近年改正された民法には、「法律行為の当事者が意思表示をしたときに意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする」と明記されています。
これは、高齢者を狙った悪質な詐欺や、親族の勝手な財産処分などからの保護を目的とした改正なのですが、困ったことも起きてきました。
不動産を管理しているオーナーが重度の認知症になってしまった場合に、賃貸借契約の更新などができない事態となってしまったのです。
こういったトラブルを回避するためには、認知症となったオーナーの代わりに法的行為や財産の管理をおこなうことができる「成年後見制度」を活用しなければなりません。
不動産管理と認知症:賃貸物件の処分を検討する
成年後見人の申し立てをおこなえば、その後見人が不動産管理を引き継ぐことができるようにはなるのですが、申し立てから開始までには数ヶ月かかり、空白期間が生まれてしまいます。
賃貸借契約が自動更新になっていればよいのですが、自動更新ではなく、空白期間が賃貸借契約の更新時期にあたっていれば、その契約は更新されません。
こういった事態を回避するためにできるのは、親族などに賃貸借契約(サブリース含む)の締結・解除、修繕などの代理権が授与される「管理業務委任契約」を、オーナーが元気なうちに締結しておくことです。
この契約を結んでおけば、仮にオーナーが認知症になっても、代理人への意思確認が可能となるため、空白期間は生まれません。
さて、成年後見人が決まったなら、その不動産物件を売却処分してしまうことも可能です。
ただし、その賃貸物件にオーナー自身が居住している場合には、裁判所の許可が必要となります。
許可なく結ばれた売買契約は無効となりますので、ご注意ください。
まとめ
賃貸物件のオーナーが認知症になってしまうと、賃貸契約の更新や新規受付などの業務が滞ることになります。
万が一の事態に備え、代理人を選定し、「管理業務委任契約」を結んでおくべきでしょう。

