住宅の購入は大きな買い物になるため、金融機関から融資を受ける方が大半です。
しかし、住宅ローンを利用すれば金利負担などもあり、家計を圧迫してしまうことが少なくありません。
そこで今回は、2022年以降に改正された新しい住宅ローン控除制度についてご紹介します。
そもそも住宅ローン控除制度とは何か、2022年以降の改正内容や利用方法と併せて把握し、節税して住宅の購入にかかる費用を軽減するためのご参考にしてみてください。
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弊社へのお問い合わせはこちら2022年以降に改正!住宅ローン控除制度とは?
そもそも住宅ローン控除制度とは、どのような特例のことなのでしょうか。
適切に活用するためにも、まずは概要を見ていきましょう。
住宅ローン控除制度とは
住宅ローン控除制度とは、住宅を購入(またはリフォーム)する際に住宅ローンを利用した方が活用できる税金の特例です。
正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。
大きな金額が必要な住宅をより多くの国民が購入しやすいように住宅ローンにおける金利負担の軽減を目的として制定されています。
金利負担を軽減するための制度とはいえ、融資を受ける金融機関はそれぞれで異なるため、住宅ローンの返済額が直接軽減されるわけではありません。
すでに給与などから差し引かれて支払済の所得税や住民税が減税され、還付金として手元に戻ってくる仕組みです。
住宅ローン控除制度を適用するための条件
現在、住宅ローン控除制度を適用するためには、次の条件を満たす必要があります。
①10年以上の返済期間
返済期間が10年未満の場合は住宅ローン控除制度が適用できません。
また、繰上返済によって当初の返済月から最終の返済月までの期間が10年未満になった場合は、途中から住宅ローン控除制度の適用を受けられなくなるため、注意しましょう。
②購入した住宅への居住
住宅ローン控除制度を受ける方が購入した住宅に居住していることも条件です。
転勤などにより一時的に不在で家族のみが居住している場合も条件を満たしているとみなされます。
一方、投資用の不動産や土地のみを購入した場合は適用されません。
③床面積が50平米以上
登記簿に記載された床面積を見て判断します。
マンションの場合は、専有部分のみが対象で通路や階段は含まれません。
④合計所得金額が2,000万円以下
給与所得・不動産所得・譲渡所得などの合計所得金額が2,000万円を超える場合は適用を受けられません。
ただし、2,000万円を超えていない年については適用を受けることが可能です。
また、株式などの売買益や配当金を申告不要の特定口座源泉徴収ありにしている場合は、合計所得金額に含める必要はありません。
⑤居住用割合が2分の1以上
購入した住宅を事業用として利用する場合は、2分の1以上の居住割合を確保する必要があります。
ふるさと納税は併用できる?
近年、多くの方がおこなうふるさと納税は、地域社会の活性化に貢献する目的で寄附をおこなうと住民税や所得税が減税される制度です。
住宅ローン控除制度と同じように住民税や所得税が減税されるふるさと納税ですが、住宅ローン控除制度と併用することが可能です。
ただし、両方とも納めた税金が控除される制度のため、納税額以上はお金が戻ってこないことを覚えておきましょう。
また、1年目は確定申告をおこなう必要があるため、ワンストップ特例制度が利用できない点に注意してください。
住宅ローン控除制度における2022年以降の改正内容とは
住宅ローン控除制度は、2022年以降に新しい制度へと改正されました。
それでは、どのような内容になったのか見ていきましょう。
2022年以降に制度が改正された背景
住宅ローン控除制度は、先述したように住宅ローンにおける金利負担の軽減を目的としています。
しかし、近年の低金利という社会情勢のなかで住宅ローンにかかる金利よりも住宅ローン控除制度による還付金のほうが多くなるという現象が起きています。
この現象は「逆ざや」と呼ばれ、制定の目的を逸脱しているため、社会的に問題視されるようになりました。
このような背景から2022年以降に国が新しい制度へと改正した経緯があります。
2022年以降の制度の改正内容は?
2022年以降の制度の主な改正内容は、次のとおりです。
①控除率の引き下げ
これまでは住宅ローンの年末残高に1%を掛けた金額が還付金として戻ってきていましたが、2022年以降の改正によって0.7%まで引き下げられました。
②控除期間の延長
これまで還付金が戻ってくる期間は10年間でしたが、2022年以降の改正によって13年間に延長されました。
ただし、中古住宅の場合は10年間のため、注意しましょう。
③環境性能によって借入限度額を分類
一般住宅を購入した場合、これまでは住宅ローンの残高が4,000万円まで控除の対象でした。
しかし、住宅(中古住宅も含む)の環境性能によって借入限度額が2,000万円から5,000万円まで異なることになりました。
そのため、一般住宅の借入限度額は3,000万円まで引き下げられ、2024年入居以降は住宅ローン控除の対象には含まれません。
分類としては、長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅・その他の住宅の順に借入限度額が少なくなります。
なお、一般住宅はその他の住宅に該当します。
④住民税からの減税額の引き下げ
住宅ローン控除制度では、所得税から控除しきれなかった場合に住民税からも控除しますが、2022年以降にその減税額が引き下げになりました。
これまでは課税総所得金額の7%が上限でしたが、2022年以降は5%(最大で9万7,500円まで)に改正されています。
2022年以降の住宅ローン控除制度の利用方法
2022年以降に改正はありましたが、住宅を購入した場合は、費用負担を軽減できる住宅ローン控除制度の活用をおすすめします。
ただし、住宅ローン控除制度は自動的に適用されるわけではないため、個人での申請が必要です。
利用方法は働き方によって異なる
住宅ローン控除制度の申請は、確定申告によっておこないます。
住宅を購入した翌年の2月16日から3月15日(祝日などの関係で変動あり)までの期間に申請しましょう。
利用方法については、給与所得者(サラリーマン)と事業所得者(自営業)で異なります。
給与所得者の場合は、1年目に確定申告をおこなえば2年目以降は勤務先の年末調整で手続きが完了します。
一方、事業所得者の場合は毎年確定申告が必要です。
申請に必要な書類は?
住宅ローン控除制度の申請に必要な書類は、次のとおりです。
●確定申告書
●(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
●住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
●購入した不動産の登記簿謄本(不動産番号がわかれば省略可)
●不動産の売買契約書または工事請負契約書
●源泉徴収票
●マイナンバーカード
●長期優良住宅認定証明書・住宅省エネルギー性能証明書・建設住宅性能評価書など
個人での手続きが不安な場合は、国税庁のホームページから相談予約ができます。
各地に会場があるため、相談しながら手続きを進められて安心です。
なお、給与所得者の場合で2年目以降の年末調整に必要な書類は、次のとおりです。
●住宅借入金等特別控除申告書
●住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
申告書は税務署、残高証明書は金融機関から送付されるため、これらを普段の年末調整の書類と合わせて提出すれば手続きは完了します。
まとめ
今回は、2022年以降に改正された新しい住宅ローン控除制度の概要や利用方法についてご紹介しました。
住宅ローン控除制度は改正によって内容が大きく変更されているため、条件をしっかりと確認しておくことが大切です。
今後は環境に配慮した住宅が優遇されることにも着目し、住宅購入について検討しましょう。
新築や分譲住宅の場合は、入居年が遅いほど控除額が少なくなるため、早めの購入をおすすめします。
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