
空き家対策を家族信託でおこなうメリットとは?制度内容をご紹介
近年の日本における少子高齢化問題によって、亡くなった方の家を活用しきれない「空き家問題」が深刻化しています。
そこで注目されている制度が家族信託です。
家族信託は、空き家問題の対処法のひとつとして注目されています。
この記事では、空き家を相続する予定のある方に向けて、空き家が生まれる原因から、家族信託の制度内容、活用するメリットまでご紹介します。
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弊社へのお問い合わせはこちら空き家対策としての家族信託①空き家が生まれる2つの原因

空き家が生まれる原因は、所有者の高齢化に伴う相続と認知症の発症です。
現代は子どもと親が同居して家を住み継いでいくというケースは減少しており、居住者が亡くなる、老人ホームへ入居するなどのタイミングをきっかけに、空き家が生まれます。
そして、その後の相続や世帯主の認知症の発症などが原因で、空き家は放置され続けることになってしまうのです。
原因1.相続に関するもの
空き家が生まれる原因のひとつは相続ですが、相続といっても相続人の不在や未決定など、原因は複数に分かれます。
相続人の不在
空き家の所有者が亡くなった場合は、基本的に相続人へ物件が相続されますが、相続人が不在である場合は、相続財産管理人選任などさまざまな手続きを経て、最終的に国のものになります。
しかし、この手続きをせずに空き家を放置したとしても、関係者に罰則があるわけではないため、誰も手続きを踏まずにそのまま長年放置されてしまうケースも少なくありません。
相続人の未決定
相続人がなかなか決まらず複数人で共有状態となっているケースも、空き家が生まれる原因のひとつです。
共有で物件を所有している場合、処分する際はすべての相続人の同意が必要になります。
誰か一人でも処分に反対すると、その空き家を解体したり売却したりすることができないため、結果的に空き家のまま放置されてしまうのです。
さらに、空き家の名義人の変更もおこなわれないまま相続人が亡くなり、二次相続が起きてしまうと相続関係が複雑化してしまいます。
最終的に所有者が誰か分からなくなり、不動産の売却や解体の手続きをおこなうこともできず、放置するしか選択肢がなくなってしまいます。
相続後の管理不足
きちんと相続されて所有者がいる空き家でも、遠方に住んでいるなどの理由で管理がいき届いていないケースも珍しくありません。
各家族化が進む現在、すでに自分の持ち家があるため、相続はしたものの管理できずに放置してしまうのです。
遠方にマイホームを建てた場合は、相続したとしてもうまく活用するのはなかなか難しいでしょう。
原因2.所有者の認知症
空き家の所有者が認知症を発症するなど、判断能力がないと認められると、不動産の売買契約が無効になる恐れがあります。
空き家の処分などをおこなう際、所有者のかわりに代理人をたてて委任することは可能ですが、重度の認知症などの場合は、そもそも代理人を立てることすら認められません。
そうなると、所有者が亡くなるまでの間は空き家を放置するしかなくなってしまうのです。
空き家対策としての家族信託②制度内容

所有者が高齢者である物件は、少なからず空き家になるリスクがあり、幅広い方に関係する問題だということがわかりました。
そこでおすすめできる空き家対策が「家族信託」です。
家族信託の制度内容と仕組みを理解し、空き家対策のひとつの手段として検討してみましょう。
家族信託の制度内容
家族信託は財産管理手法のひとつで、家族による家族のための財産管理制度です。
家族信託を利用すると、所有者の財産を信頼できる家族に託し、その財産は家族のために有意義に使うことができるようになります。
先述したように、不動産の所有者の判断能力がないと認められると、処分や売却、修繕など、一切の手続きができなくなります。
しかし認知症などを発症する前の健康なうちに家族信託おこなえば、子どもに管理を託して空き家を防止できるのです。
所有者やその配偶者に介護費用が必要になった場合でも、子どもが託された物件を売却して、その利益で費用を賄うことも叶います。
家族信託は、所有者の意思能力の有無に関わらず、物件の管理を託された方の判断で、さまざまな手続きができるようになる制度です。
家族信託の仕組み
家族信託の仕組みは、主に委託者・受託者・受益者の3つの立場で構成されます。
●委託者:財産を持つ方・管理を委託する方
●受託者:財産を託される方・管理をおこなう方
●受益者:財産から発生する利益を受け取る方
この3つの立場をあらかじめ決めておき、この委託者が両親、受益者が子どもなど、家族間でおこなう仕組みを家族信託といいます。
その他、場合によっては受益者代理人や受益者を監視する役目の信託監督人、受託者に管理や処分に関する指示をおこなう指図権者も選出可能です。
家族信託は、委託者が亡くなったあとに財産の分配する内容をあらかじめ決めておくと、財産分与もスムーズに進めることができます。
空き家対策としての家族信託③メリット

空き家対策として有効な家族信託の制度内容をご紹介しました。
最後に、家族信託を利用するメリットについて、さらに掘り下げてご紹介します。
メリット1.贈与税が発生しない
家族信託の契約内容によっては贈与税が発生せず、節税につながる点がメリットのひとつです。
家族信託の契約内容を、両親が委託者、子どもを受託者、信託財産を自宅にした場合は、委託者が受益者を兼ねる「自益信託」に該当します。
委託者と受益者が同じだと、贈与にはなりません。
メリット2.受託者の判断のみで処分できる
受託者の判断のみで空き家が処分できるのは、家族信託を利用する大きなメリットです。
空き家の所有者が認知症などで判断能力を失った場合、利用できる制度に「成年後見制度」があります。
しかし、成年後見制度では所有者の空き家を処分する際に家庭裁判所の許可を得る必要があったり、委任者の意思確認が必要だったりします。
一方で、家族信託の場合は、受託者の判断だけで空き家を処分でき、誰かに許可を得る必要もありません。
メリット3.数世代の財産承継まで指定できる
家族信託は、次の世代だけでなく数世代先の世代まで財産承継ができるという特徴を持ちます。
そのため、空き家を受け継ぐ方がいないことを理由に放置されてしまう心配は不要です。
遺言書のように相続先を指定できるだけでなく、数世代先までの財産承継の指定ができるため、空き家化するリスクを大幅に抑えることができるでしょう。
メリット4.受託者は管理を放棄できない
家族信託の信託法では、受託者に課せられる義務の一つに「忠実義務」があります。
忠実義務とは、受託者は受益者のために、忠実に信託財産を管理しなければいけないという決まりです。
そのため、家族信託では相続時の相続放棄と違い、管理の放棄は認められていません。
受託者は委託者の財産の名義人として物件の管理や運用、処分をおこなう義務があるため、放管理された状態の物件を残すことができるでしょう。
まとめ
空き家問題が深刻化していますが、その原因の多くは、所有者の高齢化に伴う相続と認知症の発症です。
空き家が放置されることを防ぐ有効な方法として、所有者が健康なうちの家族信託の契約があります。
所有者の意思能力の有無に関わらず、物件の管理を託された方の判断でさまざまな手続きができるようになる制度のため、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
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