高層住居誘導地区とは、高度経済成長期の都心よりも郊外を好んで住む方が多かった時代に、都心へ人を呼び戻すために定められた制度です。
具体的に、高層住宅誘導地区内では、都市計画法によって住宅用に制限されていたとしても、高層タワーマンションが建てられるように制度を緩和できるのです。
そこで今回は、土地の売買を検討している方向けに、高層住居誘導地区とは何か、導入された理由や経緯、利用された物件の例について解説します。
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土地売買における高層住居誘導地区とは?
都市計画法のなかでも高層住居誘導地区は、都心への人口流動を促すための措置対応として定められた制度であるため、初めて聞く方も多いでしょう。
高層住居誘導地区とはどのような制度であるのか、以下に解説します。
高層住居誘導地区とは
高層住居誘導地区は、1997年に都市計画法によって定められた都市計画地区です。
都心に高層住宅の建築を誘導し、人口の流動を都心へと促すために定められました。
職住近接の環境を整えるのも目的の一つです。
高層住居誘導地区の対象となる用途地域は、以下の5つです。
●第一種住居地域
●第二種住居地域
●準住居地域
●近隣商業地域
●準工業地域
上記5つのいずれかの用途地域に指定されている必要があります。
また、建物の容積率が400%あるいは500%の地域であるのも必須条件です。
高層住宅誘導地区に指定された場合、住宅部分の床面積が延床面積の3分の2以上、つまり最高で容積率600%まで緩和されます。
そのほかにも、前面道路における幅員容積率制限の緩和、高さ制限の緩和、日影規制の一部適用除外措置などが適用されます。
これらの緩和や措置によって、本来建てられるはずの建物よりも、高層のタワーマンションが建てられるのです。
高層のタワーマンションによって部屋数を確保し、より多くの人を都心へと呼び戻すのが目的です。
都市計画区域とは
都市計画区域は、いくつかの種類があり、各都道府県によって定められた区域です。
まず、大きく分けて市街化区域と市街化調整区域があります。
市街化調整区域とは、まちづくりを促進している区域のことであり、高層住居誘導地区も含まれます。
一方、市街化調整区域は、建築制限を強化している区域です。
容積率と建ぺい率とは
先述のように、高層住居誘導地区では、容積率が緩和されます。
容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。
この延床面積は、各階の床面積を合算します。
たとえば、容積率が200%の用途地域があると仮定します。
この場合だと、100㎡の敷地内に建てられる建物は、それぞれの床面積の合計が200㎡以内でなければなりません。
一方、建ぺい率とは、敷地面積に対して建物の面積が占める割合のことです。
建物を上から見たときの上空投影面積が建ぺい率の基準となります。
たとえば、建ぺい率が80%の用途地域だと、もっとも広い面積を有する階の床面積が80㎡以内でなければなりません。
容積率や建ぺい率は、そのほかにもさまざまな条件が定められているため注意が必要です。
高さ制限と日影規制とは
高層住居誘導地区では、容積率と同様に、高さ制限と日影規制が緩和されます。
まず高さ制限では、高層タワーマンションの建築によって、ほかの住宅への採光や日照、風通しなどの環境に影響を与えないように制限が設けられています。
高さ制限には6つの種類が設けられており、指定された地域では10mあるいは12mの高さまでの建物しか建てられません。
次に日影制限では、建物によってできる影の長さの基準が設けられています。
高さ10m以上の建物に限り、一定の基準を超える影の長さに制限がかけられています。
高層住宅誘導地区では、この高さ制限と日影制限の適用が除外されるのが特徴です。
より高い階層を有するタワーマンションの建築が期待できます。
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土地売買における高層住居誘導地区が導入された経緯とは?
高層住宅誘導地区が導入されたのは、都心へ人を呼び戻すのが目的でした。
それではなぜ人が都心から離れていき、また呼び戻す必要があったのでしょうか。
高層住居誘導地区が導入された経緯や目的について、以下に解説します。
都心から郊外へと人が流動した
昭和50年代以降の高度成長期に入ると、都心の人口が減少して郊外の人口が増加する傾向にありました。
なぜならば、高度経済成長によって都心の土地の人気があがり、土地が高騰したからです。
都心の土地の高騰の影響によって、土地が安くて手に入りやすい郊外へ住むのを選択する人が増えました。
このように住む場所には郊外を選択し、通勤や通学で都心まで通うようになったのです。
これをドーナツ化現象とよび、当時の社会問題として取り上げられていました。
ドーナツ化現象がもたらす影響
都心でドーナツ化現象が起きると、いくつかの問題が生じます。
まず、昼間は仕事や通学で都心に来ていた方が、夜は郊外へと帰宅するため、都心部の夜間の人口が減少してしまうのです。
夜間の人口が減少すると、治安の悪化やコミュニティの崩壊が懸念されます。
また、郊外へ住むのは、子育て世帯が多いため、都心の学校の児童数も減少傾向にありました。
児童数の減少によって、都心の学校の統廃合が起こってしまう恐れがあるのも懸念されていました。
このような影響から都心では、平成9年まで人口減少が続いていたのです。
そこで都心への人口減少を止めて、郊外から人を呼び戻すために、平成9年に高層住居誘導地区が導入されました。
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土地の売買における高層住居誘導地区に利用された物件の例
高層住居誘導地区に利用された物件は、「芝浦アイランド」と「東雲キャナルコート」の2つが挙げられます。
高層住居誘導地区に指定されたのは、これら2つの物件のみです。
高層住居誘導地区に利用された物件の例について、以下に解説します。
芝浦アイランド
芝浦アイランドは、平成11年、東京都港区に建設された高層タワーマンションです。
全国で初の高層住居誘導地区に建てられた物件として注目されました。
芝浦アイランドは、賃貸棟2棟と分譲棟2等の4つの街区から構成されています。
もともと、この地区の容積率は400%でしたが、芝浦アイランドの容積率は600%です。
斜線制限が緩和されている上に、日影規制の適用が除外されています。
エリア内には、商業施設や医療機関、公共施設が整っており、人口約1万人の街を形成しています。
東雲キャナルコート
東雲キャナルコートは、東京都江東区にある高層タワーマンションです。
エリア内には、8つの高層タワーマンションが建ち並んでいます。
もともと、この地区の用途地域は第二種住居地域であり、容積率は400%でした。
しかし、高層住居誘導地区の指定を受けて、容積率が600%まで緩和されたのです。
東雲キャナルコートは東京都江東区東雲一丁目に建てられていますが、東雲二丁目にも似ている高層タワーマンションが建てられています。
しかし、東雲二丁目は高層住宅誘導地区ではない点には注意しましょう。
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まとめ
高層住居誘導地区とは、都心から郊外への人口流動によって起きたドーナツ化現象を止めるために導入された制度です。
容積率と斜線制限が緩和されたり、日影規制の適用が除外されたりするため、本来は建築が不可能だったエリアに高層タワーマンションが建てられるようになりました。
均衡な街づくりのためにも、このような制度が必要といえます。
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