土地や建物を売ったときに利益が出たら、どうやって税金の計算をすれば良いのか悩む方は少なくありません。
譲渡所得が発生したときは、所得税と住民税が課税対象になりますが、基本的には売主が自分で申告をしなければならないので、脱税にならないように気を付けましょう。
本記事では、不動産を売却したときに発生する売却益とはなにかお伝えしたうえで、計算方法と節税効果の高い特例について解説します。
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不動産を売却したときの売却益とは何かについて
売却益とは
売却益とは、土地や建物を売ったときに発生した利益を差していて、課税譲渡所得とも呼ばれています。
土地や建物を売るときには、仲介業者に査定依頼を出して媒介契約を締結し、販売活動で買主を見つけて売買契約の締結・決済・引き渡しをするのが一般的です。
売買契約書に記載されている「取引額(売却価額)=売却益」と認識する方もいますが、実際には売却価額から取得費と譲渡費用を差し引いた金額が売却益になります。
納税義務が生じる税金
取得費と譲渡費用を差し引いて算出された課税譲渡所得に対して、納税義務が生じる税金が所得税と住民税の2種類です。
ちなみに所得税には、事業所得・不動産所得・利子所得・配当所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得と、10種類あります。
そのうち、土地や建物の売買で発生する所得税は譲渡所得に該当し、分離課税が採用されているので、ほかの所得とは切り離して納税しなければなりません。
土地や建物を売却して買主から代金を受け取った時点では、税金は発生しません。
売却した翌年の2月16日から3月15日の間に、住民票を置いている地域を管轄する税務署に確定申告をします。
会社員や公務員の場合、税金の計算・申告・納税を企業がおこなうので個人で手続きする必要はありません。
一方で、個人事業主や自営業の場合、個人で利益や経費などをまとめて税金の計算・申告・納税をおこないます。
土地や建物の売却で課税譲渡所得が発生した場合、個人の所得になるので、会社員や公務員の方でも自分で確定申告をしなくてはなりません。
所得税がいくらになるのかは、取得費や譲渡費用をどれだけ計上するかによって大きく変わってきます。
取得費や譲渡費用
取得費や譲渡費用には、購入費用・建築費用・仲介手数料・登記費用・収入印紙などが該当するので、領収書などを保管しておくと計上しやすいです。
一部諸費用は、取得費や譲渡費用として計上できない項目もあるので、判断がむづかしいときは不動産会社の担当者や司法書士などに確認しましょう。
諸費用になる項目をすべて計上すれば、売却価額から差し引く金額が大きくなるので、課税譲渡所得を抑えらて節税効果が高いです。
さらに、一戸建て住宅を中心にマイホームや空き家物件を対象にした減税措置も多くあるので、特例が適用できるかどうかの確認もしましょう。
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不動産を売却したときの売却益の計算方法について
売却益(課税譲渡所得)の計算式は「譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額」です。
譲渡価額
譲渡価額とは、土地や建物を売ったときに買主から受け取る代金です。
売買契約書に記載されている金額を計算に使います。
取得費
取得費とは、土地や建物を取得したときに発生する諸費用です。
購入費用・建築費用・購入時の仲介手数料・相続時の登記費用・登記時の司法書士への報酬・固定資産税精算金・土地の改良費・設備搭載費・リフォーム費が該当します。
購入費の計算には注意が必要です。
土地の購入費は100%計上できますが、経年劣化が進む建物の購入費用は減価償却費を差し引いて計上しなければなりません。
一般的な減価償却費の計算方法には、定額法と定率法の2種類がありますが、建物の原価焼却費用の計算では譲渡価額から法定耐用年数を割る定額法を用いましょう。
法定耐用年数は、日本が独自の基準で定めており、物件構造の種類によって大きく異なるので計算するときは注意が必要です。
たとえば、耐久性・耐震性が高いとされる鉄筋コンクリート造物件の場合、耐用年数は70年に設定されており、資産価値は1年ごとに0.015%ずつ低下します。
年数とともに資産価値が低下する割合を償却率と呼び、法定耐用年数が長く設定されている物件構造ほど償却率の数値は小さく済みます。
売却費用
売却費用とは、土地や建物を売却したときに発生する諸費用です。
売却時の仲介手数料・売買契約時の印紙税・測量費用・取り壊し費用・立ち退き費用・リフォーム費用が該当します。
ここで注意するべき点として、自分たちの住環境を改善するために発生した、取り壊し費用やリフォーム費用は計上できません。
あくまで、売却を目的とした諸費用のみを計上するようにしましょう。
取得費と売却費用に関する領収書は、確定申告のときに提出が義務付けられているわけではないものの、税務署から指摘されたときに証明できるように保管しておきましょう。
取得費に関する領収書は紛失してしまう方も多く、いくら発生したか確認できない状態であれば、売却価額の5%を計上しても良いとされています。
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不動産売却時にかかる税金を節税する方法
不動産売却時に使える節税効果の高い特例として、マイホーム売却時の3,000万円特別控除・相続空き家売却時の3,000万円特別控除・軽減税率の特例があります。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例は、居住用として使っていた一戸建て住宅を売却するときに、一定要件を満たすと、最大3,000万円の控除が受けられる制度です。
住み替えや今は住んでいない空き家も対象になりますが、居住用として使わなくなった場合は、3年以内の12月31日までに売却しなければなりません。
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例は、相続・遺贈で遺産を引き継いだ空き家の不動産を売却するときに、一定要件を満たすと、最大3,000万円の控除が受けられる制度です。
少子高齢化や新築嗜好により、売れ残る中古物件が増えたため、倒壊や景観悪化などの空き家問題が深刻化したため、発足されました。
相続が発覚した日から3年経過した年の12月31日までに、売買契約を締結しなければならないため、節税を検討しているのであれば、早急に販売活動に移りましょう。
軽減税率の特例
軽減税率の特例は、所有期間が10年超えの不動産を売却するときに、一定要件を満たすと、所得税と住民税の税率が低くなる制度です。
基本的には、減税措置や控除の特例は併用できない決まりですが、どちらの条件も満たしているのであれば、3,000万円特別控除と軽減税率の特例は併用可能です。
このように、不動産売却で節税効果の高い特例は多数あるので、まずは適用要件を確認して活用できるかどうかを調べてみましょう。
適用要件を満たしている場合、「売却価額−(取得費+売却費用)−特別控除」の計算式に当てはめて課税譲渡所得を算出します。
特別控除を使って課税譲渡所得がマイナスになると売却損になるので、所得税と住民税の支払いは発生しません。
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まとめ
不動産のような高額な資産を売却すると、譲渡所得が発生する可能性が高いので、ほとんどの売主は確定申告をします。
確定申告では、売却価額のほかに取得費や譲渡費用を計上して、課税譲渡所得がどれほどになるのか計算しなければなりません。
売却関連で節税効果の高い特例も多数あるので、適用要件を満たせるかどうかを確認して、早めに申告と納税の準備を進めましょう。
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